妖しき文豪怪談 第二夜 「葉桜と魔笛」


太宰治、著 塚本晋也、監督


昨夜、第二夜目を見た。
第一夜とちがい素晴らしく美しかった。
そして、観終わった後にあのドラマの中でガラス戸越しに佇む父の姿が思い出され、優しく淡く悲かった。
年頃の娘を亡くす気持ちは。恋いも知らず寝床で伏せる娘に対し、家族の心情はどれほどだったか。思うと、痛い。


私は勘違いをしていたようで、「怪談」といっても
おどろおどろしい物語や怖い話ではなく、
通説に言われる作者の風評とは別の一面を知るという
捻った意味の「怪談」なのではないかと。
でなければ、このお話が幸せな思いやりに満ちていて
どこの端にも怪奇さがないことから、私はそう解釈した。
このシリーズより前にあった、ドラマ制作番組(?)を私が見逃したせいもあるかと思うけれど、
言われるところのアノ「怪談」ではないことだけは確かで・・・。
そして、昨夜のお話はとても美しく悲しさと情愛が満ちたドラマだった。
この作品は不幸にも読んでおらず、ドラマをみた後で読んだ。
姉の感情の起伏や妹の無垢な心が、よくドラマへと昇華していたと思う。


太宰治の、破滅な部分(しかし、純粋なのだとも思う)を書いた暗い作品よりも、
暗な作品を書く者が一片の希望や温かさを込め書いた作品。
私は、そちらの方が好きだ。
暗い面をよく知ると、自分に降り注ぐぬくもりが愛おしくなるものなのだろうなぁ。