妖しき文豪怪談 第四夜 「後の日」

室生犀星、著 是枝裕和、監督


ああいやだ。なにがイヤかって?
室生夫婦に軽く嫉妬して泣けたのである。
幸せなのか、不幸せなのか、来るのが待ち遠しいのか、帰るのが不安なのか。
1歳1ヶ月で亡くした我が子が成長して戻ってきたら、
いいのか、悪いのか。
愛おしいのか、恐ろしいのか。

怪談ではないが、生温い違和感。
しかし、温かい描写と家族の愛。
・・・どこか、羨ましい。
戻ってきた子が犀星自身の幼少にも思え、様々に想像した。
実母の面影を知らず、甘えれず育った犀星であるから。
冒頭の、あんずをお供えした作者の面持ちとその後の長い境内の石畳を歩く後ろに
子供の追う姿がとても好きで、美しかった。
「後の日」が全四夜中、一番良かったかも。