妖しき文豪怪談 第三夜 「鼻」


芥川龍之介、著 李相日、監督


小学校高学年から幾度となく読んだ「鼻」をドラマにしていた。
「そうか、自尊心が柱なんだ」てっきり、人の裏表を描いただけと思っていたので、そんな陳腐なものではなかったのかと観終わった後思った。
確かに、主人公の目から見た周囲、主人公の感情の流転が柱になっていた。
感動した。

が、ちょっと怖かった。
なぜかは、思い当たることをまざまざと見せつけられたような
コソコソと自分の負の面をより一層隠したくなるようなドラマだったから。
誰しもどこかコンプレックスがあるものだと考える。そして、それを認めたくもないのに認めざるを得ない感情がフツフツと沸くとき、
それを人からズバリと指摘され畏れ笑われると
いくら善であれと言われても無理なものだ。
大なり小なり、私も思い当たる感情をよく描いたドラマだった。